分析対象
Jリーグに所属するJクラブを対象に、経営成績と財政状態の推移(2005年度から2023年度まで)をみる。
今回の対象Jクラブは、アビスパ福岡である。
経営成績と財政状態は良くないと言える。

:第107回目_20250406号
経営成績の推移(2005年度以降)
アビスパ福岡の営業収入は、2005年度は12億円で、2014年度まで主に10億円程度で推移していた。2017年度に20億円になったもののコロナ禍の2020年度に15億円にまで減少した。その後、徐々に増加し、2023年度には最も多額な29億円になった。
また、当期純利益は、2005年度以降の19年間のうち8年で当期純利益がプラスである。
2023年度の営業収入29億円は全60のJクラブで19番目に多額であるものの、2023年度の当期純利益が0.9億円のマイナスと全60のJクラブの中で16番目に損失額が多額であること、19年間のうち11年は当期純利益がマイナスであることから、企業の活動成果を示す経営成績は良くないと言える。

出所:Jリーグ クラブ経営情報より集計
営業収入内訳と順位(J1/J2)の推移
アビスパ福岡は、スポンサー収入とその他収入を得ることで営業収入を増加させている。
2023年度のその他収入10億円の内訳は、物販収入が3億円、アカデミー関連収入が1億円で、他の6億円は、大会での成績に基づく賞金や選手移籍に伴う収入などが含まれると言われている。アビスパ福岡が公表した2023年度の決算報告はこちら。

出所:Jリーグ クラブ経営情報より集計
財政状態(純資産)の推移
アビスパ福岡は、2005年度に純資産253百万円、純資産比率56%であった。その後、2013年度を除き、当期純利益の計上と増資で純資産プラスを維持した。コロナ禍の2020年度に当期純利益▲287百万円を計上した影響で純資産がマイナスになり、その後も純資産のマイナスが継続している。2023年度末に、純資産▲399百万円、純資産比率▲51%となった。
2023年度末の純資産金額▲399百万円は全60のJクラブの中で3番目にマイナス額が多額であり、純資産比率▲51%は全60のJクラブの中で57番目であることから、財政状態は良くないと言える。

出所:Jリーグ クラブ経営情報、JクラブのHPなどから集計
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