分析対象
Jリーグに所属するJクラブを対象に、経営成績と財政状態の推移をみる。
今回の対象Jクラブは、ヴィッセル神戸である。
経営成績は全Jクラブの中で中位で、財政状態は良いと言える。

:第102回目_20250223号
経営成績の推移(2005年度以降)
ヴィッセル神戸の営業収入は、2005年度から2014年度までは14億円から25億円で推移していた。楽天株式会社に株式を譲渡した2015年度以降に営業収入が増加し、2019年度には、Jクラブでは最高額となる114億円の営業収入となった。2020年度以降はコロナ禍になり営業収入が減少したが、2023年度には営業収入が70億円に回復している。
また、当期純利益は、2005年度以降の19年間のうち8年で当期純利益を計上している。
2023年度の営業収入はJクラブで3番目に多額であるが、19年間のうち11年で当期純損失を計上しており、企業の活動成果を示す経営成績は全Jクラブの中で中位と言える。

出所:Jリーグ クラブ経営情報より集計
営業収入内訳と順位(J1/J2)の推移
ヴィッセル神戸は、楽天株式会社に株式を譲渡した2015年度以降にスポンサー収入が増加し、2019年度にはJクラブで最高スポンサー収入額となる74億円を計上した。
2023年度はJリーグディビジョン1で初優勝したものの、スポンサー収入が24億円と2019年度のスポンサー収入74億円と比べると50億円減少した。

出所:Jリーグ クラブ経営情報より集計
財政状態(純資産)の推移
ヴィッセル神戸は、2005年度から2013年度まで純資産がマイナスの年度が多かったが、2014年度に特別利益2,250百万円を計上し債務超過を解消した。2018年度には当期純利益1,052百万円を計上し純資産比率が28%になり、その後、コロナ禍で営業収入が減少するものの特別利益の計上などで純資産プラスを維持している。
2023年度は、1,400百万円の特別利益の計上で純資産が1,420百万円となり、純資産比率が良好といわれる30%を超える43%となった。
2023年度末の純資産金額が全Jクラブの中で6番目に多額であり、純資産比率が30%を上回る43%であることから、財政状態は良いと言える。

出所:Jリーグ クラブ経営情報、JクラブのHPなどから集計
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